製造業は研究開発によって技術革新を行なってきた。
製造業の競争はグローバルで、厳しい競争の中で鍛えられ競争力を強化してきた。
一方、小売業はどうだろうか、製造業の技術革新に値いする革新と呼べるような変革を今までに行なってきただろうか。
日本の小売業は、社会における使命について、メーカーの作ったものを販売するという狭い領域に自らを限定してきた。
そこには生産からコストに至るまでの流通経路や全体のコストに関心を持つという、産業的視点が欠落していた。
そこには、既存の流通経路や取引慣行を所与のものとして受け入れ、それを変革しようとする強いエネルギーが感じられない。
高い志がなく、小市民的な視点、視座しか持ち合わせていない。
このように小売業自身に革新のエネルギーが欠落していた上に、自由競争を阻害する規制がこれに加わったことから、日本の小売業は規模は大きくなったものの革新性に乏しい体質を持ったまま現在に至っている。
もちろん、まったく革新がなかったわけではない。
ファーストフードやコンビニエンスストアは革新によって一気に産業化の道を進んだ。
個別企業では、カジュアルウェア専門店UQの「Fリテイリング」のような新しいビジネスモデルの構築に成功した例もある。
しかし小売売上総額1321兆円(2000年商業販売統計)を産業化の進展という視点で見れば、まだまだ初期の段階と言っても過言ではないだろう。
近年、顧客満足(CS、カスタマー・サティスフアクション)に対する企業の関心が高まっている。
顧客満足はマーケティングの手法として認識されているように思うが、それは顧客満足の本質を突いたものなのだろうか。
店頭におけるお客様に対する応対であったり、便宜性の向上が顧客満足の本質なのだろうか。
顧客満足が、もちろん販売の最終時点での、このような満足度を含んだものであることは否定しない。
しかしマーケティングの手法としての顧客満足は、顧客満足のすべてではない。
顧客満足の本質は、良質な商品を、リーズナブルな価格で提供する構造を構築した上で、これにマーケティングの視点での顧客満足を高める様々な手法を導入することではないか。
顧客の二-ズや声を充分に取り込んだ商品企画、そして効率的な商品調達システム、ロジスティクス(物流)、新商品の開発につなげるための商品動向を分析するシステム、これらの構築なくして本当の意味での顧客満足度を高めることはできない。
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